うそをつけなくなった不動産営業マンが、顧客と正面から向き合いながら仕事への向き合い方を変えていく仕事ドラマ。
NHK総合『ドラマ10』枠で放送。
『正直不動産』は、2022年にNHKドラマ10枠で放送された作品です。主人公は、口八丁で契約を取ってきた不動産営業マン・永瀬財地。営業成績は優秀ですが、顧客に都合の悪い情報を隠し、巧みな言葉で契約へ持ち込むことも珍しくありませんでした。
ところが、ある出来事をきっかけに、永瀬は嘘をつけない体質になってしまいます。営業トークでごまかそうとしても、本音や不都合な事実が口から出てしまう。これまでの武器だった『うまい嘘』を封じられた彼は、不動産営業として大きな壁にぶつかります。
設定はコメディとして非常に分かりやすいものです。しかし本作の本質は、単なる笑いではありません。人生で最も大きな買い物の一つである不動産において、顧客は何を信じればいいのか。営業マンは何を売っているのか。その根本を問い直している作品です。
不動産の契約には、間取りや立地、価格だけでは測れない重さがあります。
家を買う人、借りる人には、それぞれの生活があります。家族構成、仕事、将来の不安、老後の計画、夢見ている暮らし。その背景を無視して契約だけを優先すると、営業成績は上がっても、顧客の人生を傷つけることになります。
『正直不動産』では、永瀬が嘘をつけなくなったことで、かえって顧客と正面から向き合うようになります。都合の良いことだけを並べるのではなく、リスクや弱点も伝える。その誠実さが、最初は営業として不利に見えながら、少しずつ信頼へ変わっていきます。
また、福原遥さん演じる月下咲良の存在も重要です。彼女は最初から顧客のために動こうとするタイプで、永瀬とは対照的です。その二人の違いによって、仕事における誠実さとは何かがより鮮明に浮かび上がります。
本作が面白いのは、正直に生きればすべてうまくいくとは描いていないところです。
本当のことを言えば契約を逃すこともあります。顧客に嫌な顔をされることもあります。会社の利益と顧客の利益がぶつかる場面もあります。つまり、正直でいることは簡単な美徳ではなく、かなり面倒で、時に損をする選択でもあります。
それでも、永瀬は少しずつ変わっていきます。嘘で契約を取る営業マンから、顧客の人生に責任を持つ営業マンへ。その変化があるからこそ、本作は不動産業界を舞台にしながら、働く人すべてに通じるドラマになっています。
『正直不動産』は、不動産の知識を学べる作品であると同時に、仕事で信頼を得るとはどういうことかを考えさせてくれる作品です。見終わった後には、営業とは商品を売ることではなく、相手の人生へどれだけ誠実に向き合えるかを試される仕事なのだと感じさせられます。
大谷アキラ作画・夏原武原案・水野光博脚本の漫画を原作とするテレビドラマです。
不動産営業を舞台に、うそをつけなくなった主人公が顧客や仕事に向き合う仕事コメディです。
取引の仕組みは物語の中で扱われますが、主人公と顧客の関係が中心なので知識がなくても見やすい作品です。
案件ごとに区切りがあるため単話でも見やすい一方、主人公の変化や職場の関係は連続します。
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