岸見一郎と古賀史健が、哲学者と青年の対話を通じて、アドラー心理学の考え方を紹介する一冊。対人関係、承認欲求、課題の分離、自由を主題にする。
『嫌われる勇気』は、哲学者と青年の対話を通じて、アルフレッド・アドラーの思想を紹介する自己啓発書です。著者は、哲学・アドラー心理学を研究してきた岸見一郎と、ライターの古賀史健です。
青年が、自分の不幸や人間関係への不満を哲学者へぶつけ、哲学者がアドラー心理学の立場から答えていく形式で進みます。理論を順番に説明する教科書ではなく、青年が反発しながら問いを深めるため、心理学や哲学に詳しくない人でも読み進めやすい構成です。
本書では、過去の出来事が現在を一方的に決めるという見方を退け、人は現在の目的に沿って行動を選んでいると考えます。また、「すべての悩みは対人関係の悩みである」という強い主張を出発点に、劣等感、競争、承認欲求、人からどう見られるかという不安を扱います。
特に知られているのが「課題の分離」です。ある選択の結果を最終的に引き受けるのは誰かを考え、自分の課題と他人の課題を分けます。他人の期待を満たすためだけに生きず、同時に他人を自分の思いどおりに変えようとしない。その境界を引くことが、対人関係の自由につながると説明します。
タイトルだけを見ると、周囲を無視して好き勝手に生きる本に見えるかもしれません。しかし本書の目的は、他人を切り捨てることではありません。
承認を得ることを人生の目的にせず、自分の課題を引き受けながら、他者を仲間として捉える「共同体感覚」へ進むことが後半の重要なテーマです。嫌われる可能性を受け入れる勇気と、他者へ関心を持たないことは別だと読む必要があります。
人からの評価を気にしすぎる人、頼まれると断れない人、家族・職場・友人との関係で相手を変えようとして疲れている人に向きます。
一方で、アドラー心理学の学術的な概説書ではありません。対話形式で思想を大胆に整理した入門書なので、理論の歴史や臨床での扱いを詳しく知りたい場合は、専門書も併せて確認するのが適切です。
『苦しかったときの話をしようか』が、自分の強みと職能をキャリアへ結びつける本だとすれば、『嫌われる勇気』は、他者の期待や承認欲求から距離を取り、自分の人生を選ぶための考え方を扱います。
このitemは、岸見一郎・古賀史健著、ダイヤモンド社刊、ISBN13 9784478025819 の単行本版を基準にしています。2013年12月12日発売、四六判、296ページです。
タイトルの印象だけで「嫌われても構わない本」と誤解されないよう、対話形式、目的論、対人関係、課題の分離、共同体感覚までを本書固有の流れとして整理。
哲学者と青年の対話を通じて、アドラー心理学の目的論、対人関係、承認欲求、課題の分離、共同体感覚を紹介する自己啓発書です。
単に他人を無視する本ではありません。他人の期待だけで生きず、自分と他人の課題を分けたうえで、共同体の中でどう生きるかを考える本です。
人からの評価を気にしすぎる人、頼みを断れない人、家族や職場の人間関係で相手を変えようとして疲れている人に向いています。
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